3/9〜3/24 増山士郎個展「群盲象を評す」The Blind Humans and the Elephant
〜併設ギャラリーによる展示です〜
〜カフェみずうみも同時オープン〜
増山士郎 個展 群盲象を評す
(京都2会場同時開催)
Shiro Masuyama Solo Exhibition The Blind Humans and the Elephant
(Coinciding 2 exhibitions in 2 Kyoto venues)
monade contemporary | 単子現代
会期:2024年3月9日(土)~24日(日)|金・土・日、3月20日(水・祝) 14~19時
イベント:オープニング・レセプション 2024年3月9日(土) 19:00~21:00
増山士郎トーク(聞き手:F.アツミ)2024年3月23日(土)17:30〜18:30
会場:〒605-0829京都市東山区月見町10-2 八坂ビル地下1階 奥左入ル 2号室
京都同時開催個展
増山士郎個展〈 ジャコウウシのために、角カバーを編む / Knitting horn covers for a muskox 〉
会期 : 2024年3月8日(金)-24日(日)12:00-19:00(定休日 : 月・火 / 3月20日(水・祝)は開場)
会場 : ANEWAL Gallery 現代美術製作所 (現代美術製作所で検索下さい) 〒602-0065 京都府京都市上京区挽木町518
〈ステートメント〉
現在世界最悪の環境汚染都市とされるインドのニューデリーに滞在し、現地の環境汚染の実態について調査を行った。その後、象が多数生息するケララ州に滞在し、野生の象と、神聖な動物としてお祭りのために人間に飼われている象を調査し、インドにおける象と人間の関係の一端を垣間見た。最終的に、ケララ州の象のオーナーと象使いの協力を得て、環境汚染をもたらす人間が作り出す様々な工業製品を象が踏み潰していく映像を撮影した。作品のタイトルはインドの伝統的な例え話に因んでいる。本作品は、別会場で同時開催される個展〈ジャコウウシのために、角カバーを編む〉(2023)を含む「セルフ・サフィシェント・ライフ」のシリーズ作品と同様に、東北の震災以降に、現在の我々の消費主義や資本主義をベースにした我々の生活に深い疑問を抱いたことが作品を作り出す動機になっている。
〈アーティスト・ステートメント〉
私は建築学科大学院の修士課程を修了しているので、自分の作品はその影響が強いサイトスペシフィックで建築的な社会介入(インターベンション)である。建築学科出身のバックグラウンドや日本人としてのアイデンティティを利用して、人々や社会と関わるプロジェクト、いわゆるソーシャリーエンゲイジドアートを実践している。作品を通して人々との相互作用が予期しなかった結果をもたらし、作品を完成するのに、最も重要な要素の一つになると信じている。作品のジャンルはパフォーマンスから彫刻、インスタレーション、写真、ビデオと多岐に渡る。
2006年のダブリンのアイルランド近代美術館と、2009年のベルファストのフラックス・アート・スタジオにレジデンス滞在したことがきっかけで、英国の紛争地帯として知られる北アイルランドのベルファストに引っ越した。北アイルランドを拠点とする、唯一の日本人アーティストとして、我々を取り巻く政治的な力が、我々のアイデンティにどう影響するかを示すユニークな役割を担っている。
― 増山士郎
〈展覧会情報〉
monade contemporary | 単子現代では、増山士郎による「群盲象を評す」を開催します。本展は同時期に現代美術製作所(京都市上京区)で行われる個展〈ジャコウウシのために、角カバーを編む〉(2023)との併催となります。
増山はこれまで、紛争地帯のベルファストを拠点に北アイルランド唯一の日本人芸術家として2010年より活動し、世界各地のレジデンス・プログラムに参加しながら、社会とかかわるさまざまなプロジェクトをその地に根ざしたかたちで実現してきました。特にアイルランドのヒツジ、ペルーのアルパカ、モンゴルのフタコブラクダ、アラスカとグリーンランドのジャコウウシをモチーフに、現地の人々とともに毛を収穫し、伝統的な技術を用いてもとの動物に着せるものをつくるシリーズ作品「セルフ・サフィシェント・ライフ」、さまざまな動物をモチーフに各地の歴史・政治的な問題意識をもって取り組むプロジェクトなどは、自然と共生しながら社会活動を営む人々のあり方を動物とともに問いかける批判力と想像力をもって展開されてきました。また、現地の人々と各自のアイデンティティに合ったTシャツをつくるプロジェクトも行っています。
本展で展示されるビデオ作品では、「群盲象を評す」という盲人の群れが巨象を撫でながら事実の一部を真実であるかのように語り合うというインドに古来伝わる逸話を背景として、ケララ州で見られるゾウの祭典を舞台に人々とゾウの群れが、大量に生産され、廃棄されていく工業製品を介して出遭います。
動物の群れと人々が邂逅するとき、人類は動物界のヒトへと置き換えられ、社会的なアイデンティティをもった人は動物としてのヒトとなって、動物とともに生産と消費と流通が発生する原初的なエコノミーの可能性を眼差すことになります。あらゆる生が電子の海のなかでイメージとなり、象徴的に交換され、永遠に死んでいるかのように生きる高度情報資本主義経済において、人々の無限に増幅する欲動とゾウという巨大な質量をもった動物の衝突は、どのようなエコノミーの可能性となって私たちの前に立ち現れることになるのでしょうか。同時期に別会場で併催されるジャコウウシをめぐる自給自足の生のあり方への問いかけと合わせて、濃厚な大気汚染の霧のなかで神の化身と戯れる生の熱気を感じながら、グローバリゼーションの巨大な波がひしめくエコノミーの破壊と生成にご参加ください。
〈アーティスト〉
増山士郎
1971年東京生まれ。明治大学建築学科大学院修士課程修了。2004年からベルリン、2010年より紛争地帯のベルファストを拠点に北アイルランド唯一の日本人芸術家として活動。世界各地のレジデンス・プログラムに参加しながら、社会とかかわるさまざまなプロジェクトをその地に根ざしたかたちで実現している。
https://www.shiromasuyama.net/