1/5-1/28 さくまはな個展「ポリレンマの家」

★併設ギャラリー展示のオープニングとして、アーティストさくまはなさんとカフェみずうみのコラボレーションで「ポリレンマ茶会」が開かれます。
1月6日(土)16時〜18時
参加費:1000円お茶菓子付(ご予約不要)
年始め、アーティストトーク&展示にちなんだアートなお茶会にぜひご参加ください!

monade contemporary|単子現代
さくまはな個展「ポリレンマの家」
会期:2024年1月5日(金)~1月28日(日)|金・土・日 14~19時
会場:〒605-0829京都市東山区月見町10-2 八坂ビル地下1階 奥左入ル 2号室
+ ことばを食べるカフェ みずうみ *併設のカフェもお楽しみいただけます。

〈イベント〉
「ポリレンマ茶会」
2024年1月6日(土)16~18時
1,000円
アーティストトーク、ことばを食べるカフェ みずうみとのコラボレーションによる茶会

さくまはな×嘉藤笑子 トークイベント「場所、移動、コミュニティをめぐって」
1月13日(土)18~19時
ワンドリンク・オーダー
神戸、ロンドン、インドネシア、メキシコ、東山のまちを背景に、さくまはなのこれまでの作品と活動を振り返ります。長年にわたり京島を拠点に日本各地でキュレーションを展開しているインディペンデント・キュレーターの嘉藤笑子が、真鍮の家の新シリーズ「from the house through the house」など、その作品と一連の活動の魅力を探ります。

「解体と再生の茶会」
2024年1月28日(日)16~18時
ワンドリンクオーダー
家にまつわるお話をしながら、真鍮の家をみんなで解体し、真鍮のパーツでギャラリーの床に一本の線を描きます。※最終日28日のイベント後は解体された真鍮の家の展示になります。

〈ステートメント〉
私はこれまで真鍮の家シリーズ、ミニチュア屋台群や日常にある素材を用いたインスタレーションなどの制作を通じて、個人と社会、個と集合体、私たちという概念、異なる文化や価値観の境界線、人々の暮らしや生き抜く智慧などについて考えを巡らせてきました。

本展では、真鍮の家の新シリーズ「from the house through the house」の一作目となる「ポリレンマの家」と題した作品を展示します。ポリレンマとは複数の好ましくない選択肢から選ばなければならない状況を指します。近年、問い直されている公的扶助や再分配といった社会課題の歴史を辿るような気持ちで制作した本作では、英国の公共住宅やそのルーツとされる貧民救済施設などの建築物正面のデザインを着想源にグリッドで描けるようなシンプルな家の構造体を制作しmonade contemporary | 単子現代の空間に配置します。

最終日には、アーティストトークの後、家にまつわる話をしながら、これらの真鍮の家を来場者の方々と共に解体し、会場の床に一本の線を描くイベントを行います。解体した真鍮のパーツは次回作となる新たな真鍮の家の一部として再生します。

― さくまはな

〈展覧会情報〉
monade contemporary | 単子現代では、さくまはな による「ポリレンマの家」を開催します。

さくまはなはこれまで、イギリスや日本をはじめ海外各国を旅し、暮らしてきた経験から、日々の暮らしのなかで用いられる素材をもとにインスタレーション作品を制作してきました。そのなかで、街角に並ぶ建築物の構造をトレースする真鍮の家や人々の暮らしを支え、彩る屋台にフォーカスしたミニチュアもつくっています。一つの場所を生きる人と通り過ぎていく人が出会い、集まり、別れ、離れていく社会、そして人々が生きる最小単位となる生活空間というシステムは、個人と他者、まちあるいは都市のなかでせめぎあいながら流通するさまざまな材料や食材、情報とともに変容していくかのようです。

本展では、「ポリレンマ(polylemma)」という複数の命題における選好状況、あるいはたくさんの(poly)つかまれたもの(lemma)という問いに目を向けて、真鍮の家の新シリーズ「from the house through the house」の契機となる「ポリレンマの家」が展示されます。古代から装飾や工具、武器、貨幣などに使用されてきた真鍮という素材が、イギリスの公共住宅やそのルーツとされる貧民救済施設などの建築物の構造をトレースし、今日の日本や京都という歴史と相見えるとき、さくまはなの真鍮の線が描き出すまちあるいは都市はどのようなインスタレーション作品として現われることになるのでしょうか。

今日、流動する資本主義社会において加速主義的に拡大する移民の波ととともに、多国籍労働者のさまざまなコミュニティの面影がまちあるいは都市のなかに息づきつつあります。まちあるいは都市において市民と非市民をめぐる敵対状況を回避し、敵となりうる者が友として受け入れられるのであれば、人々の暮らしの最小単位となる生活空間というシステムは贈与とケアという行動とともに変容を遂げることになるのかもしれません。そのとき、人々のつかまれたもの、あるいは所有されたものは、どのような命題となって一人ひとりの間で共有され、それぞれに分有されることになるのでしょうか。古代から今日へと至る真鍮の線の運動ととともに、贈与とケアの予兆にご参加ください。

〈アーティスト情報〉
さくまはな  https://www.hanasakuma.com/
アーティスト。神戸在住。1993 年~2010 年ロンドンを拠点に活動。ロンドン大学スレード美術大学 MFA (Sculpture)を経て、2006 年、ロンドン芸術大学チェルシーカレッジ オブアート&デザイン博士号(Practice-based PhD)取得。イギリス、メキシコ、アジア各地での調査や活動を機に概念としての家、移動、境界線にまつわる制作活動を行う。