ページ【湖】

おなかの空いた黒猫にあげてしまった「言葉」を忘れた私はあたりを彷徨い、辿り着いた湖のほとりで水面に映る自分を見ている。

水面の向こうの自分は何か言ってるようだがプクプクと泡に消えてわからない。他になすすべもなく自分の姿に重ねるように湖の中に入ってみる。沈む程に青く、底にはクリーム色の砂地が広がっている。

静かに揺れてもうひとりの私が言った。「”ことばを食べるカフェみずうみ”へようこそ!ここは本の1ページであり、底には沢山の記憶ー言葉の化石が眠っています。」