5/18-5/26 リー・ハオ個展「曖昧な | AMBIGUOUS」
〈ステートメント〉
自分の絵画を振り返ってみると、実際に何が制作の動機になったのだろうかと考えることがある。私は自身の成熟期にさかのぼる歴史的な出来事や人々、社会を参照し、それらの出来事と自分とのつながりを探ってきた。それ以来、ベトナム戦争にまつわる出来事や里程標を見つけることに、より興味をもつようになった。そのおかげで、あの戦争の残酷さ、その結果、罪のない人々が本来手に入れるべきものをすべて失ってしまったことなど、あの戦争について深く理解することができた。
絵画をとおして戦争をめぐる私の見解を伝えるために、私は個人的に点字を選んだ。どの絵画にも、戦時中や戦後に起こったさまざまな史跡が描かれており、また現在も残っているモニュメントがある。しかし、何よりも、ベトナムの歴史から見るとまだ誤って受け止められているかもしれない出来事について、それぞれの絵画は新しい視点を差し出している。
― リー・ハオ(Lê Hào)
monade contemporary|単子現代
2024年5月18日(土)~26日(日)|金・土・日 14~19時
〒605-0829 京都市東山区月見町10-2 八坂ビル地下1階 奥左入ル 2号室
+ ことばを食べるカフェ みずうみ *併設のカフェもお楽しみいただけます。
イベント:
2024年5月18日(土)
-トークイベント:アートの歴史性と政治性を考える 18~19時 ※ワンドリンクオーダー
ゲスト:城戸みゆき(アーティスト)、村田のぞみ(アーティスト)、リー・ハオ(アーティスト *リモート参加)
リー・ハオ氏の作品をきっかけとして、今日のアートの歴史性と政治性について話し合います。
-オープニング・レセプション 19~21時
〈展覧会情報〉
monade contemporary | 単子現代では、リー・ハオ(Lê Hào)による「曖昧な AMBIGUOUS」を開催します。
リー・ハオはこれまで、ベトナムおよびアジア各国において、インスタレーションやパフォーマンス、絵画作品とともに、ベトナムにおける歴史や社会情勢と家族や個人とのかかわりに目を向けてきました。近年、アーティストは2020年には福島県いわき市で開催されたグループ展「reflection―防潮堤より、遠望―」において日本とベトナムにおける原子力発電所をめぐる状況に着想を得たインスタレーションを発表しました。さらに2023年に京都市で行われた個展「dim」では、ベトナム戦争をめぐる出来事や風景写真を現在の歴史的な状況と個人史の間から振り返りながら、視覚障害者が用いる点字に着目した絵画作品によって風景と歴史のかかわりを批判的に検討しようと試みました。
本展では、ベトナム、ホーチミン市において2024年に先行して発表された個展「AMBIGUOUS」と同タイトルの展覧会のもと、個展「dim」で発表された作品群を再構成して紹介します。写真や絵画に表象される風景は、その場所において、作者によって、また展示空間とともに、その様相を変えることになります。抽象的に表現された風景と隠された意味として配置された点字の物質性は、コード化され共有された風景にまた別の意味を産み出そうとする強烈な印象をもたらします。風景のある場所がイメージとして媒体に定着するとき、その風景はどのように意味を与えられ、あるいは失い、一つの事実として出現することになるのでしょうか。戦争の歴史と人々の記憶と葛藤が出会う風景の喧噪にご参加ください。
〈アーティスト〉
リー・ハオ(Lê Hào) https://www.facebook.com/lequyanhhao
1980年ベトナム、ベンチェ省生まれ。ホーチミン市美術大学(学士)卒業後、ベトナム・サイゴン在住。近年の展覧会に、京都での個展「dim」(2023年)、福島でのグループ展「reflection -distant view from seawall」(2020年)などがある。