12/14〜1/5 福本浩子さん個展「バベルの図書館」

〜カフェみずうみ併設ギャラリーでの展示です〜

monade contemporary|単子現代
2024年12月14日(土)~2025年1月5日(日)|木・金・土・日 14~19時 *2日(木)はクローズ
オープニング・レセプション 12月14日(土)19~21時
アーティストトーク 1月4日(土)18~19時 *ワンドリンクオーダー
〒605-0829 京都市東山区月見町10-2 八坂ビル地下1階 奥左入ル 2号室
+ ことばを食べるカフェ みずうみ *併設のカフェもお楽しみいただけます。

〈ステートメント〉
私は、〈「情報」と「もの」とのかかわり〉ということをテーマに、新聞紙・本などの印刷物から、インスタレーション作品や、ブックオブジェ作品を制作してきた。私は、自らの作品で、「情報」がただ観念的なものにとどまらず、具体的なかたちや質感・量感をもつ、ひとつの「場」として存在していることを表したいと考えている。観念的な「情報」は、現実の「もの」となって、はじめて存在することができる。そしてその「もの」は置かれる場、集積される場を必要とする。私の作品を通じて、「観念性」と「具体性」は、ものごとを見るうえで、双方がともに必要かつ重要であることを、明確に表すことができるのではないだろうか。

図書館(La Biblioteca)とは、多くの本・印刷物が集められた場である。同時に、それらの分類・保管などの機能をもつ建造物のことでもある。ホルヘ=ルイス=ボルヘスの「バベルの図書館(La Biblioteca di Babele)」という短編小説のなかでは、図書館は、世界そのものの比喩であるとともに、すべての「情報」を内包した、知の総体としてとらえられている。つまり、図書館は単に書物保管・閲覧のための機能的な場所というだけではなく、「知」そのものを象徴する「情報の場」であるともいえる。

私はこうした、「図書館」のもつ多面的な意味について、そして、そこに収められるべき、数多くの「本」について強い関心をもっている。今日は情報社会であるといわれるが、はるかそれ以前から、おそらく人類が社会的な活動を始めた頃から、人間は「情報」を必要とし、それを発展させるために工夫をし、さまざまな試みを続けてきた。普段、本や雑誌・新聞などを読むとき、媒体が「紙」であることを特に意識することなく「情報」を読み取っているが、ここで私が「もの」である紙の特性を生かして、新たな意味を持った形に加工した作品を提示することで、見る人は、「情報媒体」のありようやそれがもつ力、身近なものの別の側面に気づき得ると考える。紙の上に書かれた文字や図版と、紙のものとしての特性との関係は、「情報」と「もの」との関係を、最も明確に表現できるものではないだろうか。

― 福本浩子

〈展覧会情報〉
monade contemporary | 単子現代では、福本浩子による個展「バベルの図書館 | La Biblioteca」を開催します。

福本はこれまで、「情報」と「もの」とのかかわりに着目しながら、印刷物を素材としてインスタレーション作品やブックオブジェ作品を制作してきました。印刷物を素材としたアートは、「情報」と「もの」観念性と具体性をもって表現することができる一つの「場」として存在するといいます。

本展では、福本が長年かけて発展させてきた「図書館(La Biblioteca)」にかかわるインスタレーション作品、および関連作品を紹介します。多くの本・印刷物が集められ、分類・保管などの機能をもつ建造物として存在する「情報の場」としての図書館は、ホルヘ=ルイス=ボルヘスの「バベルの図書館(La Biblioteca di Babele)」から得た着想をもとに、日常生活を流通する新聞紙や本といった印刷物を溶かし、漉き、固めた多数のブロックを積み上げることによって、危うい緊張感を孕みながらもそびえ立つ記念碑的な様相を呈することになります。

ビットセカンド毎に増殖し、管理され、閲覧される情報の空間を過ごす人々の生がインクと紙の塊からなる塔、あるいは壁として表象されるとき、今日の世界はどのような印象をもって見る人に迫ってくるのでしょうか。情報と生存を統制するパノプティコンの崩落を予感させる、集合と離散の分水嶺にご参加ください。


 

福本浩子
1971年、兵庫県神戸市生まれ、京都市在住。1994年、京都教育大学教育学部美術学科特修美術専攻卒業。近年の活動として、個展に「Mycobook 福本浩子展」ギャラリー16 APERTO(2019年)、「Mycobook」MEDIA SHOP gallery(2021年)、グループ展に「これは本ではない」うらわ美術館、福井市美術館(2010−2011年)などがある。「こみまる展2009」大賞(吹田歴史文化まちづくり協会〔大阪〕)。パブリックコレクションに、2004年「Palimpsestes」いまだて芸術館(福井)、2006年「ふしぎきのこ」篠山チルドレンズミュージアム(兵庫)などがある。
https://www.instagram.com/fukumoto_hiroko/

協力:京都芸術センター制作支援事業