キャッチャー・イン・ザ・ライ を読んで
キャッチャー・イン・ザ・ライ/J.D.サリンジャー/村上春樹訳
出し抜けに、読書感想文。
「ライ麦畑でつかまえて」村上春樹訳を読みました。
学校を退学になっては次の学校に移る16歳のホールデン・コールフィールド。
特徴はとにかく彼が世の中に”うんざり”していること。
何があったってだいたいナーバスになる彼が「そう思わないか?」というように時々読者に語り掛けるような文体。
ほとんどのものに、間抜けなとか、ろくでもない、とかの形容がつく。
この世界はうすのろやインチキどもの集まりだ(ほんの少しだけど気に入っているものもある)
だけど読んでいるとだんだん、ホールデンという子が愛しくなってくる。
じつは誰よりも優しくて良心的で誠実で小心者で寂しがりやで、
時間があればすぐに誰かと食事して会話したくなる。
興味深い会話をしたい。
拳を強く握れなくて人を殴れない。女の子と最後までできない。。
モーリスという詐欺師と娼婦に金をふんだくられる場面で、
相手に思いつく限りの罵りの言葉をかけるんだけど、その途中で出し抜けに泣き出してしまったりする。(ここ最高に愛しい場面)
ホールデンは作中何度か出し抜けに泣き出す。
私がこの小説の中で一番好きなホールデンのセリフ。
「どんなことにもしっかり意味があるってことを、みんな”ぜんぜん”よくわかってないんだ。僕はそういうことにクソうんざりしちまっているんだ。」
ひとつひとつのことをちゃんと見て、興味深い会話をしたい。
私の言いたいことを代わりに言ってくれたような気持ちになりました。
(いえもちろん、よくわかってないのは私なんですが)
笑えるのは、タクシーの運転手や通りすがりの人物に「さっさとお家に帰ってねんねしてな、マック」とかジョージ、とか適当な名前で呼ばれて軽くあしらわれるところ。
(こういうのは他の海外小説でもよくあるのかもしれない)
Holden Caulfield という名前は、Caul=羊膜に守られた子いうような感じ?
そう考えるとマンガの主人公っぽい名前です。
この本はみずうみにも置いてます。貸し出しも可。
読んだら一緒にお話できたら嬉しいです♪